イワン・イリッチの死

イワン・イリッチの死

トルストイは、世界的名声を得たものの、
『アンナ・カレーニナ』を書き終える頃から人生の無意味さに苦しみ、 自殺を考えることが少なくなかったようです。
この『イワン・イリッチの死』を書く直前の10年間、 創作活動を中止した期間がありました。
その間、自らの「死」について思いを巡らしていたのか、 10年ぶりの執筆作品である『イワン・イリッチの死』は 死を前にした、トルストイ自身の恐怖を描き出している名作です。
主人公のイワン・イリッチが、 病気になって気付く、避けられない問題について語ります。
■イワン・イリッチの死
「いや、問題は盲腸でもなければ、腎臓でもない、
 生きるか…死ぬるかという問題なのだ。
 そうだ、もとは命があった、それがいま逃げて行ってる。
 しかも、それをとめることができないのだ。

 そうだ、なにも自分で自分を欺くことはない。
 おれ以外の人はみんな誰もかれも、おれが死にかかっていることを、
 はっきり知っているんじゃないか。

 問題はただ週とか日とかいうものの数ばかりだ…
 事によったら、今すぐかもしれない。
 前には光があったが、今は闇だ。

 前にはおれはここにいたが、今はあちらへ行ってしまう!
 いったいそれはどこだ?」

彼は総身に冷水を浴びせられたような気がし、息が止まった。
ただ心臓の鼓動が聞こえるばかり。

「おれがいなくなると、その時はいったいどうなるんだろう?
 なんにもありゃしない。
 おれがいなくなった時、いったいおれはどこへ行くんだろう?
 本当に死ぬんだろうか?
 いやだ、死にたくない」



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